序説
※ この記事は2018年に書いたものを、2026年10月に全面的に見直しました。
「複利はすごい」とよく聞くけれど、実際どのくらい違うのか、いつから効果を実感できるのか、ピンとこない方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、複利効果は、最初の数年はほとんど実感できません。でも、10年、20年と続けるうちに、単利との差はどんどん広がっていきます。複利を味方につけるために一番大切なのは、増えた分を使わずに再び投資に回すことと、長く続けることです。
この記事では、複利の仕組みと、どのくらいの期間で効果が見えてくるのかを、具体的な数字で解説します。
それでは最後まで読んでくださいね。
紙を25回折ると、富士山の高さに迫る
複利の力を感じていただくために、ひとつ問題です。
厚さ0.1ミリの紙を、半分に折る、また半分に折る、と25回繰り返したら、厚さはどのくらいになるでしょうか?(実際には紙を25回も折ることはできませんが、計算の上での話です)
1回折ると0.2ミリ、2回で0.4ミリ、3回で0.8ミリ。まだまだ薄いですよね。
ところが25回折ると、答えは約3,355メートル。富士山(3,776メートル)に迫る高さになります。
「倍、倍」と、増えた分がさらに増えていく。これが複利の本質です。アインシュタインが「人類最大の発明は複利だ」と言ったという話も有名です(実際に本人が言ったかどうかは確かではないそうですが、それほど複利の力は驚くべきものだということです)。
単利と複利の違い
お金を預けたり投資したりして増える利益には、「単利」と「複利」の2つの考え方があります。
- 単利:最初に預けた元本にだけ利息がつく
- 複利:元本に、それまでについた利息を足した金額に、さらに利息がつく
例えば100万円を年10%で運用するとします。
- 単利なら、毎年10万円ずつ増えて、1年後110万円、2年後120万円
- 複利なら、1年後110万円、2年後は110万円の10%で11万円増えて121万円
2年目の差はたった1万円です。「なんだ、たいして変わらないじゃないか」と思いますよね。でも、ここからが複利の本領です。
| 経過年数 | 単利(年10%) | 複利(年10%) |
|---|---|---|
| 10年後 | 200万円 | 約259万円 |
| 20年後 | 300万円 | 約673万円 |
| 30年後 | 400万円 | 約1,745万円 |
| 50年後 | 600万円 | 約1億1,739万円 |
50年後には、単利の600万円に対して、複利では1億円を超えます。同じ100万円、同じ10%でも、これだけの差が生まれるのです。
現実的な利回りで考えると?
とはいえ、毎年10%で増え続ける投資は、現実にはなかなかありません。もう少し現実的な年5%で考えてみましょう。
年5%でも、30年後には単利の250万円に対して、複利では約432万円になります。
グラフを見ると分かるように、最初の5年ほどは、単利と複利の差はほとんどありません。差がはっきり見えてくるのは10年を過ぎたころからで、20年、30年と時間がたつほど、差は加速度的に広がっていきます。
「複利効果はいつから実感できるのか」という疑問への答えは、10年くらいから、はっきりするのは20年以上、というのが正直なところです。だからこそ、複利は「早く始めて、長く続ける」ことが何よりも大切なのです。
毎月の積立なら、さらに身近に
まとまった100万円がなくても、複利は使えます。毎月コツコツ積み立てる方法です。
例えば、毎月3万円を年5%で20年間積み立てると、積み立てた元本の合計は720万円ですが、20年後には約1,233万円になる計算です。約513万円が、運用で増えた分です。積立の期間が長くなるほど、この「増えた分」が占める割合は大きくなっていきます。
今は新NISA(2024年に始まった、投資の利益に税金がかからない制度)を使えば、年間360万円、生涯で1,800万円まで、利益に税金がかからずに投資できます。税金で利益が目減りしない分、複利の効果をそのまま受け取りやすくなります。
72の法則:お金が2倍になる年数の目安
複利の計算は少し面倒ですが、「72の法則」を覚えておくと便利です。
72 ÷ 利回り(%) = お金が約2倍になる年数
- 年3%なら、72 ÷ 3 = 約24年で2倍
- 年5%なら、72 ÷ 5 = 約14年で2倍
- 年10%なら、72 ÷ 10 = 約7年で2倍
自分の投資が、何年くらいで2倍になりそうか、ざっくりつかむことができます。
複利を味方につけるための3つのポイント
増えた分を使わずに、再び投資に回す
株の配当金や、投資信託の分配金を受け取って使ってしまうと、複利にはなりません。増えた分を再び投資に回して、はじめて複利になります。投資信託なら、分配金を自動で再投資する設定を選ぶのがおすすめです。
大きく減らさない
複利は、減るときにも効きます。100万円が50万円に減ると、元に戻すには50万円を2倍にしなければなりません。大きな損失を出すと、それまで積み上げてきた複利の効果が一気に失われてしまいます。
だからこそ、株の短期トレードでは、損失を小さく抑える損切りが欠かせません(「損切りできないのはなぜ?心理の正体と株の損切りルールの決め方」)。
借金の複利に気をつける
複利は、お金を借りる側にも働きます。クレジットカードのリボ払いやカードローンのように金利の高い借金は、返済を先延ばしにするほど、利息が利息を生んで膨らんでいきます。投資で複利を味方につける前に、高い金利の借金を先に返すことが大切です。
私の失敗談:年15%を想定した積立投資
最後に、私自身の失敗談をお話しします。
私は今から20年以上前に、新興国(ブラジル、ロシア、インド、中国など)の株に投資する、外貨建ての投資信託の積立を始めました。
- 元本30万円、毎月250ドルずつ積み立て
- 年15%で増える想定で、20年後に3,000万円を目指す
ところが、2018年にこの記事を最初に書いた時点で、投資した金額に対して18%ものマイナスでした。円安が進んでいたおかげで、円で見るとトントンというところでした。
この経験から学んだのは、複利の計算はあくまで「その利回りが続けば」という前提の話だということです。特定の国や分野に偏った投資は、想定どおりの利回りが続かないこともあります。複利の力を信じるのと同じくらい、大きく減らさないこと、分散することが大切だと痛感しました。
まとめ
- 複利とは、増えた分にもさらに利息がつく仕組み。時間がたつほど、単利との差は加速度的に広がる
- 年5%でも、100万円は30年で約432万円(単利なら250万円)
- 複利効果を実感できるのは10年くらいから。だからこそ早く始めて、長く続けることが大切
- 毎月の積立と新NISAを使えば、まとまったお金がなくても複利を活かせる
- 複利を味方につけるには、増えた分を再投資する、大きく減らさない、高い金利の借金を先に返す
編集後記
この記事を最初に書いた2018年には、「年30%の利益でトレードを勝ち続ければ、10年で1,000万円」と書いていました。しかし、年30%を10年続けることは、プロでも非常に難しいことです。読者の方に誤解を与えかねないため、今回の見直しで削除し、現実的な利回りでの計算に改めました。
今、私は自動売買のデイトレードを検証しています。短期のトレードでも、増えた分を次の元手に加えていけば複利になりますが、同時に「大きく減らさない」ことの大切さを、毎日の記録で実感しています。検証の仕組みは「自動売買の概要」にまとめています。
本記事は検証記録であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
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