序説
中田敦彦氏の人気動画「【経済】5G時代の最終兵器「ブロックチェーン」〜前編〜 人類の未来を変える大発明!」で取り上げられた話題の書籍
「WHY BLOCKCHAIN、なぜブロックチェーンなのか?」坪井大輔著について解説していきます。
ネタバレも含まれますので、注意して読んでくださいね!
読みどころ
※出典:Career-Picks
「ブロックチェーンはテクノロジーではなく、思想である」というワクワクするような出だしから始まる本書について、
敢て結論から申し上げますと、
タイトルの「WHY BLOCKCHAIN、なぜブロックチェーンなのか?」に対する回答、「なぜなら・・・」に続く文章は、
それは、「未来のためである」
と締めくくられるその内容はまるで壮大な未来小説を読む様な感覚を覚えます。
筆者が序章でも書いているように、この本はブロックチェーンで大儲けをするために書かれている訳ではなくて
仮想通貨の話を書いているのでもありません。
何度も核心の部分に触れますが、「ブロックチェーン」とは、人類に管理者のいない社会をもたらします。
それは今まで人類が経験した事の無い社会と言えます。
それだけ、「破壊的なイノベーション」をもたらす可能性を秘めた「技術」であると言う事です。
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あらすじ
ITの進化
第1章では、ITの進化と共に現代の「4種の神器」について書かれています。
簡単にそれぞれの役割を見ていくと
①IOT・・・家電などあらゆるものがインターネットに繋がる事によって個人のデータを取る技術
②クラウド・・・IOTで取ったデータを置いておく場所
③ブロックチェーン・・・クラウドに置かれたデータを仕分けして、鍵をかけて管理する技術
④AI・・・実際にデータを活用していく技術
そしてそれら世界中の技術とデータを既に掌握し、実装させている企業が「GAFA」と呼ばれる企業で
現在は「Google、Apple、Facebook、Amazon」の4社がまさしく中央集権的に情報を管理し民衆を支配している構図が出来上がっています。
と同時にこの「4種の神器」を上手く使いこなせない企業は生き残っていけないと書かれています。
「ブロックチェーン」はそれら4種の神器の中でも特別破壊的なイノベーション力を持っています。
すなわち巨大企業の中央集権支配体制をも打ち崩す可能性を秘めた技術であるととも説いています。
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ブロックチェーンの正体
※出典:総務省
第2章にブロックチェーンの技術について細かく書かれています。
技術的な細かい解説なので、ブロックチェーンの仕組みを詳しく知りたい方は面白いと思いますが、
取り敢えずブロックチェーンで「何ができるんだ?」と簡単に知りたい人は少し退屈かもしれません。
それでも極めて重要な点があります。
今までの世の中は「国」や「メガバンク」などの信用(とはいえ本当は幻想的な信用)を元に世の中の仕組みや経済は回っていました。
しかし、「ブロックチェーン」が進んだ未来では、技術的に「改ざん不可能」で「セキュリティー保全が担保された信用」(絶対的信用)を元に社会が回っていくイメージです。
普及を拒むもの
第3章では、「実際ブロックチェーンは何処まで普及しているのか?」と言う現状の疑問について解説してくれます。
結論から言うと、実際にはブロックチェーンはまだビジネスとして成り立っていないのが現状です。
その理由として、
1つには、法律があります。
例えば土地の所有権の管理などは「ブロックチェーン」には最適なのですが、実際は「法務局」がその管理を行っています。
法務局の許可なしに管理を行う事はコンプライアンスに反するので、民間が行うのは難しいのが現実です。
2つは、既得権益を所有する者からの抵抗があります。
説明するまでもありませんが、「ブロックチェーン」はあらゆる仲介業者やいわゆる中抜きを必要としません。
現代ではそれで生計を立てている人や団体がいかに多く存在し、寄生虫の様にうごめいている事が分かります。
3つ目は、日本の経営者の「ブロックチェーン」に対する認識不足を上げています。
俄か「ブロックチェーン」ファンの経営者は自社の効率化や収益性にのみフォーカスしてしまいますが、
本当の力は「企業」や「国」などの枠を超えた情報やモノの共有であり管理を行う事です
つまり、自分だけ情報や利益を独占しようと考える経営者には「ブロックチェーン」は使いこなせませんし、ビジネスとして成り立ちません。
ブロックチェーンが拓(ひら)く未来
※出典:ビジネス+IT
第4章では「ブロックチェーン」がもたらす、筆者が考えるより現実的な未来が書かれています。
「ブロックチェーン」が進めば「国家は要らない」と言う過激な人(アナーキスト)がいます。
と同時に「AIやロボットが人間の仕事を奪ってしまう」とも言われています。
その事について筆者は「そこまでは成らないだろう」と予測しています。
まず、誰かがシステムを作り、
あるゆるデータを「ブロックチェーン」で管理する社会になります。
そして、そのシステムを実際運用するのが「AI」や「ロボット」になるだろうと考えられます。
考え方によっては「AI」や「ロボット」が管理する社会で多くの民衆が生活を営むと言う構図が出来上がるかもしれません。
そこで筆者は100%「AI」や「ロボット」がブロックチェーンで管理する社会よりも敢て、人の管理が介在する半々の社会が理想であるとも言っています。
それは「国」や「企業」など経済を基盤とした組織ではなく、価値観を共有し、お金とは別の価値基準(それをトークンと呼ぶ)を共有するコミュニティを形成する事に繋がっていきます。
実験例と想定ケース
第5章は筆者が実際に「ブロックチェーン」を取り入れたビジネスプランを自身が経営する会社紹介を基に解説をしています。
現実的にビジネスとして取り入れやすい分野やプランを具体的に解説してくれます。
例えば、調剤薬局が競合他社と顧客を奪い合うのではなく、在庫を共有するシステムを「ブロックチェーン」で構築するなど、
実際にブロックチェーン技術を使ったビジネスを考えている人にとってはたいへん参考になります。
どの様な人にお薦めか
まず、ブロックチェーンの技術を詳しく知りたい人にとっては非常に詳しく、かつ分かり易く説明されています。
引越しの荷造りに例えて「ブロックチェーン」を説明する「くだり」はどの本にもなかった画期的な切り口で非常に面白いと思いました。
ブロックチェーンによるメリットばかりではなく、しっかりとデメリットについても書かれています。
とにかく「「ブロックチェーン」を使って自分の会社を効率よく改革して収益を上げるんだ!」と息巻く経営者の方には、ある意味冷や水を浴びせられたと感じるかもしれません。
しかし、現状をしっかり理解し、新たな切り口でビジネス展開を行う人にとって本書は良いきっかけになると思います。
まとめ
本書は「ブロックチェーン技術」を今までの解説本には無い切り口で、分かり易く解説してくれます。
そして、それが管理者が存在しない、夢のある未来の管理システムである事、
同時にブロックチェーン技術の得意とする分野、逆に不得意とする分野もある事を教えてくれます。
「国家がなくなる社会が到来する!」という様な「夢物語」だけを語るのではなく、「実際にどのようなビジネスに向いていて、どう活用していけば良いのか」と言う具体的な活用方法まで言及してくれています。
編集後記
本書は今まで読んだ「ブロックチェーン」に関する本の中で、その技術を理解する上で最も分かり易い本でした。
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出だしのフレーズで、グッと引き寄せられ、ワクワクしながら読めた事は間違いありません。
しかし、「本当にブロックチェーンの魅力を存分に感じ取れたか」と言えば、実はそうではありません。
私個人的には、「ブロックチェーン」には将来本当に「国家」という概念が無くなるくらいのイノベーションを秘めた技術であると思っています。
私の記事ビットコイン(仮想通貨)の未来とその可能性にも記したように、あの有名な歴史的名曲ジョン・レノンの「イマジン」の歌詞の内容が本当に起きて来ていると感じています。
ぜひ、あなたも本書を読んで何かを感じ取って頂ければ幸いです。
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